通常の収録方法 | スクイーズ収録 | ||
スクイーズ収録とはビスタ、もしくはスコープの作品を横方向に圧縮して収録し、それを再生時にもとにもどすということをいいます。テレビは走査線という線で構成されて画にみえるわけですが、走査線の間には隙間があります。スクイーズ収録した画像を再生時には縦に圧縮して元の比率に戻すと、単純に考えて走査線の隙間が半分になるので緻密な画となるという仕組みです。 | −−−−−−−−−−−−−− −−− −−− −−− −−−− −−− −−− −−−− −−− −−− −−−− −−− −−− −−−− −−− −−− −−− −−−−−−−−−−−−−− |
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この恩恵は絶大で、クオリティという点ではDVDの大きなメリットの1つといえます。その前にまずはスクリーンサイズについて説明しましょう。
劇場映画作品のスクリーン(上映)サイズには様々なフォーマットがあり、現在大別すると、3種類あります。
1、スタンダードサイズ 1.33:1
もともと映画のフレームはすべてこのサイズでした。昔の作品はほとんどこれです。
2、ビスタサイズ
もともとはビスタビジョンという撮影方式からきたもので、現在ではそのサイズにだけ呼び名の名残が残っています。ちなみにビスタサイズには比率が様々ありまして、主流はアメリカン・ビスタ(1.85:1)か、ヨーロピアン・ビスタ(1.66:1)かです。
3、シネスコサイズ 2.35:1
60年代ワイドスクリーンブームの火付け役となったフォックスのシネマスコープ。他社も同様の形式のスコープサイズ作品を連発します。一般的にこのフレームサイズをシネスコサイズとよぶようになりました。
現在日本のDVDでは1をスタンダード(4:3) 2、3をワイドスクリーンと大別して呼んでいることが多いようです。
このうち1のスタンダードサイズはTV放映に当たっては何も問題はありません。なにしろ映画のスタンダードサイズの比率をまねて、TVのフォーマットが決定したのですから、そのままの比率で放映できます。ところがビスタサイズとスコープサイズは困った問題が発生します。というのもそのままのサイズではテレビにはうまく収められない部分が生じるのです。したがって画面の中からTVで収まる部分を選択する作業が発生します。これをトリミングと呼びます。ビデオ草創期は、そのころのTVが小さな画面のものが主流だったために、トリミングされたものがほとんどでした。ところが制作者側は、トリミングするとどうしても構図が崩れてしまうためにオリジナルサイズをみせたいと主張する人々が何名かいました。有名なところでは、黒澤明監督がそうで、彼は自分のスコープサイズ作品がオンエアされるにあたり、ノートリミングでを要求しました。黒澤作品はほとんどがノートリミングでの放送となりました。今となってはウソのような話ですが、「なぜ上下をかくすんだ!」という抗議の電話があったそうです。(実はトリミングの方が隠しているのですが) ところがLDのような高画質媒体が登場したこと、さらには大画面テレビの登場により、視聴者側もノートリミングでみたいという需要が高まり、ソフトも劇場そのままのフレームで収録されることが多くなりました。しかしテレビの走査線のうち、有効利用されているのは、シネスコノートリミングの場合で約7分の4というわけですから、やはりもったいないと感じるのも確か。そんな中、ワイドTVの登場が一つの変化になります。走査線を有効利用できつつ、オリジナルのスクリーンサイズで大丈夫なワイドテレビ、またオリジナル志向がも手伝って、ソフトのすみ分けとして、レンタル(VHS)、地上波=トリミング版 DVD・LD・BS/CS=ノートリミング版という形で定着し始めました。
DVDの収録方法はケースに明記されています。まず4:3。それからLBと表記されるレターボックス収録。それから16:9LBと表記されるスクイーズ収録です。4:3は上下に黒味のない全部に画面がうつる画面。LBはワイドスクリーンサイズののものを構図そのままに収録した画面。16:9LBはワイドスクリーンをスクイーズ収録したものです。ちなみに対応は以下のようになっています。
普通の 4:3テレビ |
ワイドテレビ、もしくはスクイーズ対応テレビ | |
4:3 | ○ | ○ |
LB | ○ | ○ |
16:9LB | △ スクイーズの恩恵は受けられませんが、レターボックス収録と同様でワイドスクリーンサイズで視聴できます。 |
○ |
またスクイーズの呼び方がさまざまな呼び方があるのが混乱に拍車をかけています。スクイーズ(しぼる)が一般的ですが、よくケースには16:9とかかれています。これはワイドテレビの縦横比で、スクイーズの圧縮比はこれと同じです。ですからスクイーズと同じ意味です。またアナモフィック(歪像)という呼び方もされますが、これは昔、スコープサイズの作品の上映方式がスクイーズと似ているから(スコープは縦方向に圧縮し、上映時にもどす)。ちなみにアメリカではスクイーズとは呼ばずに、anamophic、enhanced for 16:9などと表記されるのが一般的です。