総力分析:配給会社ケイブルホーグ

日本に多々ある配給会社の中でも、特にケイブルホーグは個性的な配給会社だと断言できよう。なぜならここの配給作品はどこの他社作品とも似ていない個性的な作品ばかりだからだ。しかもぽっと出の会社ではなく、すでに15年の実績を誇っている。サム・ペキンパーの映画から命名された小さな会社。しかしそこが我々にみせてくれる映画、ケイブルホーグ配給映画というバンチ(房とか一団の意)はとんでもなく強烈な作品ばかりだ。そんなケイブルホーグの成り立ちからポリシー、配給という仕事などについて、ケイブルホーグの小林桃代さんにインタビューをした。

出発 ペキンパー映画より命名
2001年ケイブルホーグ作品

時の支配者
「ファンタステイック・プラネット」のルネ・ラルーとコミックアーティストのメビウスが組んだアニメーション。しかも今回はニュープリントです。
2001年1月20日より
渋谷シネ・アミューズにてレイトショー
−まずは最初に会社の設立から現在に至るまでの概要を簡単にお話ください。
小林さん
「会社が配給業務を開始したのは1985年、今年で15年目を迎えました。社長の根岸(根岸邦明氏)はずっと映画が好きで、中学の頃から映画の仕事をしたいと考えていたそうで、宣伝会社に入りそこで5年弱、宣伝やイベント、パブリシティの仕事をして、30代半ばに”ケイブルホーグ”として配給会社を設立しました。弊社の初の配給作品は『ミラレパ』(1973) リリアーナ・カヴァーニ監督)という作品で、 代表的な作品は、サム・ペキンパー『ワイルド・バンチ/ディレクターズ・カット』、『シド・アンド・ナンシー』などで知られるアレックス・コックス監督作品、いまだに熱狂的なファンが多いフランスのアニメ『ファンタスティック・プラネット』、アレハンドロ・ホドロフスキーの『サンタ・サングレ 聖なる血』など、現在までに新・旧あわせて150本を越える作品を配給しています。」
−配給という業務は一般の映画ファンにはわかりにくい仕事かもしれません。どんなお仕事か簡単にご説明願えますでしょうか?
小林さん
「私が実際に毎日やっていることをお話しますと、配給する作品に関しての、とにかく全部です。”配給”という言葉の通り、皆さんにその作品を知ってもらい、足を運んでいただくための仕事です。まず作品に関連するあらゆる情報を探し出し、宣伝方法を練ります。今は宣伝方法が多様化していますから、興味を持ってもらう宣伝をする、というのは大事なことだと思います。手元にある資料だけでなく、ネットでの検索や、関連の書籍・映像、詳しい方から話を聞くなど、その作品のどんなところが面白いのか、素晴らしいのか、などを見極め、どんなコンセプトを持って、どんなビジュアルでいくか、を考えます。ポスターやチラシなどを作るのはもちろん、パンフレット等も作ります。作品によってはグッズなども考えます。資料などが揃い、公開時期が迫ってきたら、試写を行います。これは作品によってさまざまですが、かなり早い時期から何度も行うものもあります。どういう方に観ていただくか、ということも大切です。そして、雑誌や新聞、電波、ネットなどといった媒体に情報を掲載してもらうようお願いをします。そしてやっと公開、となります。一本の作品を公開するまでに数ヶ月をかける仕事です。」
−社名の「ケイブルホーグ」はサム・ペキンパーの作品『ケーブル・ホーグのバラード』(旧題「砂漠の流れ者」)からつけられたのは有名な話ですが、そのあたりのいきさつを教えてください。
小林さん
「根岸がペキンパーの『ワイルド・バンチ』を観て衝撃を受け、その数年後に『ケーブル・ホーグのバラード』を観て、また唸ったそうです。会社をスタートさせるとき、”知られざる傑作”という、会社で自分が今後やっていくテーマに合った作品ということで、ペキンパー作品のタイトルを会社名にしようと決め、どちらにしようか迷ったが、”ケイブルホーグ”にしたとのことでした。 弊社が『ワイルド・バンチ』の完全版を配給した時(1998)、メイキングフィルムを見つけて配給することができたのですが、根岸はペキンパーの撮影中の姿を初めて見て感激したそうです(笑) なおペキンパーの方は”ケーブル・ホーグ”、会社名は”ケイブルホーグ”と変えています。」
買い付けのポリシー
−ミニシアターはすっかり映画ファンにも認知されて、それを支えているのは個性的な作品を世界中から紹介してくれる配給会社の存在だと思います。ケイブルホーグさんもユニークな作品を数多く配給されていますが、買い付けはどなたが行っているのでしょう?
小林さん
「買い付けは社長の決定が中心です。 クラシックス(旧作)については状況に応じて。新作についてはカンヌなどの映画祭、アメリカ(ニューヨーク)やロンドンにいるコーディネーター達の情報で根岸が作品を観て決定しています。私達スタッフも、買おうとしている作品を観ることもあります。今はインターネットで情報を得ることが簡単になりましたから、公開前の日本にもすでにいろいろな情報が入ってきますね。ミニシアターは最近は大きな力を持っていますし、配給会社は、優れていて、面白い、その上個性的で、日本でも受け入れられる作品を探し出すことを期待されます。世界各国の映画を観ることができる日本は、すごい国だと思います。」
−買い付けに当たって、何か会社の方針・基準はありますか?
小林さん
「新作については、ダニー・ボイル『シャロウ・グレイブ』、ロバート・ロドリゲス『エル・マリアッチ』、ジョン・マクノートン『ヘンリー』など、できる限りその監督の処女作に目をつけることにしているそうです。またアイデアとテーマがどれくらい斬新か、など、基準はいろいろあるようで、根岸は一時、ドイツ・インド・イギリスにいたことがあり、その影響もあって、精神世界などを描いた作品を多く配給しているのも特徴ですね。宣伝をやってみて思うのですが、新作に関しては真っ白なところからはじめなくてはなりません。その作品は知られてないわけですし、過去に観た人もいない、特に処女作はその監督のファンもいないわけですから。もちろん、その作品の良さを広めていくという楽しみはありますが、宣伝の立場としては大変ですね。」
−さしつかえなければケイブルホーグ配給作品の中で配収の多かった作品を教えてください。
小林さん
「 『春にして君を思う』はいい成績を収めた作品なのではないでしょうか。お客様に足を運んでいただいた作品ということでしたら、『シド・アンド・ナンシー』やデビット・ボウイの『ジギー・スターダスト』、一連のカルト・クラシックス・シリーズはやはり多くのお客様に足を運んでいただきました。フリッツ・ラングの特集上映、音楽ドキュメンタリーなども定着してきたようです。」
−さてケイブルホーグさんというとアレックス・コックスというイメージをもたれている方も多いかと思うのですが、コックス作品に関しては制作にも関わってらっしゃいます。このあたりの経緯を簡単に 教えてください。
小林さん
「まず『ストレート・トゥ・ヘル』(1987)という作品から始まりました。その際にアレックスが初来日し、根岸は意気投合してしまったようです。日本での彼の代表作ともなっている『シド・アンド・ナンシー』(1986)をリバイバルで上映、『エル・パトレイロ』(1992)と『デス&コンパス』(1996)では弊社が製作に参加しています。アレックスと根岸は固い絆で結ばれており、お互いを信頼しあっている様子が窺えます。未公開ですが、根岸がキャストで参加している作品もありますし(笑)。」
2001年ケイブルホーグ作品

ホフマン物語
「赤い靴」の監督コンビがおくる作品。

2001年1月27日より、
キネカ大森にてロードショー
−またケイブルホーグさんの大きな特徴ということで、何といっても”カルトクラシックス”というシリーズではないでしょうか? 旧作のリバイバルや劇場での初上映、日本初公開の作品の数々。こういう企画は他社にはない大きな特色といえるかと思います。このシリーズの企画意図を教えてください。またその作品選出もどのようにして決めたのかもお話ください。
小林さん
「カルト・クラシックスは私自身、入社前のファンの時代から大好きな企画でした。作品リストは実は根岸しか知らない”魔法の引き出し”から随時取り出されています。日本未公開作品、ビデオ化されていても劇場公開されていない作品、約10年前に公開されていてもビデオ化されていない作品の中で、現在公開しても見ごたえのある作品をセレクトしているようなのですが、スタッフである私にも、根岸の”魔法の引出し”には何が入っているかわからず、次は何が出てくるのか、と楽しみでもありますね(笑) 第一弾の『ウィッカーマン』(1973)あたりは本当に、とにかくすごい作品です。音楽好きな私としては『ワイト島1970』(1995)をスクリーンで観られることに感動しました。近年ではフリッツ・ラングの作品を特集上映していますが、昔からのファンの皆さんにも、まったく知らなくて今回好きになった方にも楽しんでいただけているようです。これからもスクリーンで二度と観ることができない、おそらくビデオ発売もしないであろう隠れた名作を公開しますので、期待していてください。」
「ヒット=興行的な成功」だけではない
−興行の部分に関してですが、やはりヒットするしないは気にかかる部分でしょうか?
小林さん
「それはもちろん気になります。それまでの仕事が”結果”となって表れるということですから。やはり、お客様が多いというのは嬉しいことです。でもそれは”結果”であって、それだけが一般的な判断基準になってしまうのは、ちょっと気になります。お客様が多いからといって、”ヒット”と判断されるのはつらいですね。映画とは人それぞれの判断基準があって、混んでいて、ヒットしていても、それが面白いかどうかは観た人それぞれ、捉え方が違いますから。ヒットするのはもちろん、すごく嬉しいことですが、私個人の考えとしては、それを観て、何を感じ取ってもらえたか、ということの方が大事です。観ていただいたその人にとっての”ヒット”であれば嬉しいです。そして仕事として、ヒットする、しない、にかかわらず、自分が頑張ったと思えるような結果が出せることも目標です。」
−劇場でのロードショーの時は、やはり初日などはいらっしゃるのでしょうか?
小林さん「初日は様子を見るためにも、必ず行きます。あとはイベント(トークショーなど)の時には行きます。状況はなるべく把握しておきたいので、公開中に足を運ぶこともあります。 」
−やはり他社の動向などは気になりますか?
小林さん
「 それはやっぱり気になりますね。ただし、他社の”会社”としての動きよりも他社の”作品”の動き、という意味です。公開日が同日のものや、作品の題材が似通ったもの、同じ劇場で弊社の作品の前後に公開されるものなどは特に気になります。」
−配給会社としてヒットさせる秘訣みたいなものがあれば少しだけ教えてください
小林さん
「あまり深いところをお話してしまうと、ネタバレになってしまいそうです(汗)。どこの配給会社さんもきっと同じだと思いますが、やはりその映画のことを、いい形で、なるべく多くの方に知ってもらうことです。どんなにいい作品でも、知られないまま終わることほど、淋しいことはありませんから。そのためには、パブリシティ(新聞、雑誌、テレビ、ネット、ラジオなどに載る映画紹介全般のこと)を多く出すということでしょうか。パブリシティがすべてではないので、あまりこういう言い方はしたくないのですが、やはり、一番効果のある方法といえばパブリシティなのでしょうね。そしてもうひとつ、ただ単にまっすぐな宣伝方法だけではなくて、少し別の切り口を探すことでしょうか。音楽映画ならば”映画”というよりも”音楽”という視点で考えたりとかですね。」
地味で、何年経っても完璧にやりとげることは難しい世界
2001年ケイブルホーグ作品
アギーレ・神の怒り
1/27〜2/16
フィツカラルド

2/17〜3/9
ヘルツォークとキンスキーの狂気の映像世界。
特に「フィツカラルド」の山越えする船は
絶対スクリーンで!

BOX東中野にて連続ロードショー
−いろいろとご苦労もあるかと思いますが
小林さん
「映画業界というと、派手な仕事のように思えますが、とても地味で、根気の要る仕事だと思います。パブリシティは特にそうですね。多種多様な映画が公開される現在の日本で、掲載・紹介してもらうというのはとても大変なことです。とにかく多くの方に、いいタイミングで情報を知ってもらうことが目標なので、直接会ってお話をしたり、電話をしたり。正直なところ、これが一番大切、けれどもつらい仕事です。 また忙しいと、自社作品で手一杯ですから、自分が個人的に観たいと思っている作品が終わってしまったり、いつ、どこで、何を上映しているか、など把握していないままだったりします。映画業界で、常に映画を観ていると思われがちですが、映画ファンとは言えないくらいに、映画は観なくなってしまいました。観る時間と気力がなくなりますね。もちろん、映画は大好きで、観たいものも観るべきものもたくさんあるのですが。」
−配給の仕事をやっている中でうれしかった場面はどんな時でしたか?
小林さん
「この作品を上映してくれてありがとう、と言われたとき、すごくよかった、などという声を聞いたとき、でしょうか。大ヒットならば、もちろん嬉しいのですが、観ていただいた方の心に残るほうが嬉しいです。『イマジン』を観て、すごく優しく、純粋な気持ちになった、とか。『リュシアン 赤い小人』という作品を昨年9月に公開したのですが、あまりいい成績とは言えませんでした。しかし、あの作品を観た方には、自分の生き方や、自分がどうあるべきか、などすごくいろいろなことを感じ取っていただけたと思います。心にしみる、本当に美しい作品でした。ただ観るだけではなく、何かを感じてもらえるとうれしいですね。」
−小林さんが担当した中で、特に思い出深いものがありましたら教えてください。
小林さん「ケイブルホーグに入社してやっと半年ですが、まだ新人なので、あまり多くの作品を担当していませんが、いちばん思い出深いのは昨年9月〜11月にかけての『ジミ・ヘンドリックス』(1973)です。天才ギタリストであるジミ・ヘンドリックスについてのドキュメンタリーなのですが、私はもともと大好きなミュージシャンの一人でした。この作品を自分が、それも初めての担当作品として手がけられることは願ってもないことでした。公開に際して、ファンの方に多大なるご協力をいただき、ちょうど4枚組のBOXセットのCDが発売されるということもあって、レコード会社の方にもご協力いただきました。この作品はファンには知られていながらも、字幕が付いた状態で、しかも劇場では日本初公開ということもあって、本当に多くの方にご覧いただきました。より広く、多くの方にジミ・ヘンドリックスを知ってもらうお手伝いができたのではないかと思い、彼のファンでもある私にとっては嬉しいことです。私はまだ手探りの状態でしたが、ファンの皆さんと、この世にはいないのですが、ジミ本人に助けてもらったような気がしています。出会ってよかった、と思える方々と知り合うきっかけにもなりましたし、これから音楽を題材にした映画を手がけていくことになるであろう私にとって、いい勉強になった作品でした。一生忘れられない一本になると思います。また、先日終了した『深紅の愛 DEEP CRIMSON』では監督のアルトゥーロ・リプステインと、夫人であり脚本家のパス・アリシア・ガルシアディエゴのお二人が、映画祭の審査委員長として初来日しました。リプステインはルイス・ブニュエルやフリッツ・ラングとも交流があり、ラテンアメリカ映画界の巨匠なのですが、気さくで、繊細で、ユーモアがあり、優しくて、本当に素敵でした。お会いできたことに感動しつつ、同時に『深紅の愛 DEEP CRIMSON』での自分の無力さに情けなくなりました。弊社配給で彼の監督作品『大佐に手紙は来ない』が今年控えていますから、その時には頑張りたいと思います。」
−失礼な質問ですが、何かお仕事の上でこれは失敗したなあという時はありますか?
小林さん
「この仕事は頂点というのがない仕事だと思います。常に何かを失敗しているような気がします。あの時これをやっておけば、という後悔は常にありますね。完璧にやったということはきっと何年経ってもありえないのではないでしょうか。たぶん、ヒットしても何か失敗した部分はありますし、自分の中での満足度もその時によって違うと思います。自分が完璧にやったとしても、ヒットするわけではありませんし。作品によってやり方はいろいろです。前にこうやって成功したから、次も同じやり方で、というわけにもいきません。常に模索状態で、なにか突破口を探していますね。ただし、失敗や後悔は次に生かす努力はします。まだまだ、私は修行中ですから、分からないことだらけです。」
ケイブルホーグの存在意義
−ファンの嗜好の多様化からインデペンデント系配給会社の数が近年また増えてきています。そんな中でケイブルホーグはどんなアイデンティティを確立しようとされているのでしょうか?
小林さん
「ケイブルホーグはカルト・クラシックス・シリーズなどでお分かりのように、ビデオ等も発売されておらず、現在スクリーンで観ることが困難な作品、映画の歴史上、貴重な作品や質の高い作品を多くの方に観ていただける機会を作っていきたいと思っています。本当の映画の良さ、面白さ、こんな作品が作られていたのかという驚き、なるべく多くの方に観ていただきたいですね。新作についても、質の高い作品がご提供できたら、と考えております。」
−しかしひと頃のミニシアターブームは去り、映画も音楽と同様に○○系とくくられてしまうような売り方がされています。また良質な作品がヒットしない反面、ファッ ション性だけでヒットしまうことが増えたような気がします。近年のミニシアターの興行状況をどのように分析されるでしょうか?
小林さん
「最近はそういう売り方をしないと、お客様が来ない、という風潮が出来上がってしまったということでしょうか。弊社でもやはり、そういうイベント的なものは考えます。もちろん、その結果、今まで映画を観なかった人も足を運んでくれ、映画を観てくれる人口が増えるのはいいことです。ただし、作品とかけ離れた方法で映画を売るのはよくないと思います。作品に沿ったやり方で、お客様が観たくなるような宣伝で、しかも足を運んでいただいたお客様が気軽に、心から楽しんでいただけることなら、それはいい宣伝方法だと思います。ただし、ただし、そういった宣伝方法は一時的なブームとしてではなく、作品の良さも理解してもらい、本当の意味で長続きすることが大事ですね。」
−最近の配給作品の興行展開はいかがでしょうか?
小林さん
「弊社だけのことではなく、今年は特に、映画業界全体が厳しいといわれています。パブリシティが多いというのはもちろん、大事なことではありますが、それだけを映画を観る時の判断材料にしてしまうと、目立たない作品はどうしても無視されてしまいがちです。いい作品をやっていても、紹介される機会が少ないことで、お客様まで届かなかったり。映画業界にも、パブリシティにも、問題点が多いのではないでしょうか。お客様にお願いしたいのは、目新しさやおしゃれさ、派手さ、などといったことだけにとらわれずに、自分にあった作品を見つけて欲しい、ということですね。それがミニシアター、インディペンデントの良さでしょうから。」
−それはこのケイブルホーグの作品リストがまさに証明していますね。本当に壮観です。私の個人的な感想を言えば、よくこれで商売が成り立っているなあと思えるぐらい(笑)、商業的な可能性でいくと消されること間違いなしの、しかし作品としてはすごいパワーを持った作品ばかりです。あらためて振り返っていかがですか?
小林さん
「私が言うのもなんですが、たしかにすごい作品ばかりです。そこが、私がケイブルホーグに惹かれた理由でもありますし。商業的には厳しい作品は山のようにあります。本当の意味での「良さ」に気付いてもらえないままの作品もあります。もちろん、私たちがそれを伝えきれなかった、という反省も含めてですが。でも中には、これ大好きだよ、といってくださる方がいらっしゃいますから。これ、スクリーンで観たかったんだよ、という声を聞けることは嬉しいことですから。だからカルトクラシックスやフリッツ・ラングのような偉大な監督の特集を続けていく意味があるんだと思います。」
−最後に今年のケイブルホーグさんの予定、それから今後の方向をお聞かせください。
小林さん
「今年のラインナップを以下にご紹介します。まず1月から3月にかけて、『時の支配者』『ホフマン物語』『アギーレ・神の怒り』『フィツカラルド』『D.O.A』が公開されます。そのあとは未定ですが、ニコラス・ローグ監督『美しき冒険旅行』、アレハンドロ・ホドロフスキー監督処女作『ファンド&リス』、トニー・ガトリフ監督のジプシー映像詩『ラッチョ・ドローム』、アルトゥーロ・リプステイン監督『大佐に手紙は来ない』、テレンス・マリックの『バッドランズ』(ビデオタイトル『地獄の逃避行』)『ピンク・フロイド/ラ・ヴァレ』など。とにかく、またすごいものばかりです。ご期待ください。
2001年ケイブルホーグ作品

D.O.A.
今さらピストルズ? いや今だからピストルズ!
21世紀にパンクは生き残れるか

2月23日(金)〜3月15日(木)
渋谷シネパレスにてレイトショー

21時から上映(日曜は休映)
何よりも印象的だったのは、「興行的なヒットよりも観客の心のヒット作だとうれしい」という言葉でした。この答えはすごくうれしかったと当時に、ちょっとほっとしました。こういう方々が配給という世界にいらっしゃって本当にありがたいです。実はこの取材をしている最中、私はひょんなことからWOWOWでオンエアされていた『ウィッカーマン』をみました。すんごくおもしろかった! 作品解説をみると「ほー、ずっと日本未公開だったのかあ」 そしてデータベースを当たってみると、なんと配給はケイブルホーグ! さすがっす(笑) この会社はまるでペキンパーの「戦争のはらわた」に出てくるシュタイナー伍長のようです。自分の信念をきちんともち、けっして出世(金儲け)にめがくらむことなく、何よりも生き延びているじゃないですか! 私にとって信頼できる水先案内人。ジャケ買いならぬ配給買いといったところですか。そんな信頼できる配給会社がある幸せをあらためてかみしめました。
(インタビュー・文:じんけし)
おまけリンク
ケイブルホーグ http://www.cablehogue.co.jp/